腫瘍科
腫瘍科
がんを診察する科です。
当院では知識と技術が無いと手が出しにくい、各種腫瘍の治療や外科的な手術も行っています。
抗がん剤での治療も、動物の状態に合わせて抗がん剤の量を細かく調節して副作用を出にくくしたり、仮に副作用が出たとしても素早く最小限に抑える処置を行っています。
ご希望によっては、分子標的薬の使用などの先進医療も提案出来ます。
積極的な治療を望まない場合には、痛みを抑えて楽にしてあげることに特化した治療(緩和療法)も行えます。
腫瘍科の病気
リンパ腫(多発性、消化器型、皮膚型、前縦隔型)、乳腺腫瘍、扁平上皮癌、肥満細胞腫、軟部組織肉腫、精巣腫瘍、卵巣腫瘍、膀胱移行上皮癌、骨肉腫、ワクチン接種部位肉腫など
実績
1. 肘にできものが出来たシーズー(軟部組織肉腫)
写真はこの子の前足を横から見たところです。
肘のあたりに一目で分かる大きなできものが見られます。
検査によって、このできものは軟部組織肉腫(なんぶそしきにくしゅ)という悪性の腫瘍だと診断されました。
この腫瘍は放っておくとどんどん広がっていく、やっかいな病気です。
手術でも取り残しがあると再発するため、取り残しの無いように、通常は安全マージンとして腫瘍の周りの正常な組織も一緒に取る必要があります。
腫瘍が出来た場所が手足だった場合は、断脚(だんきゃく)といって、足ごと切り取らざるを得ないケースもよくあります。
手術で腫瘍を取り除いた後の写真です。
犬を横から見た構図で、左側が頭側、右側が尻尾側になります。
足の腫瘍をただ取るだけでなく、わきや胴体の皮膚を移植することによって、足を残せるようにしました。
当院では可能性があれば様々な技術を用いて、なるべく手や足を残す手術も実施しています。
2. 排便がおかしくなったミニチュアダックスフンド(直腸アポクリン腺癌)
犬のおしりの写真です。
肛門から入ってすぐのところにできものが見られました。
便の通り道を腫瘍が塞いでいるため、便が出にくくなっているのが分かりました。
検査の結果、この腫瘍はアポクリン線癌という悪性のものだと判明しました。
手術で腫瘍を取ったところです。
見た目にも便の通り道が確保されたのが分かります。
取った腫瘍は2cm近くの大きさでした。
この子は手術後数日で、普通の便が出るようになりました。
3. おしりにしこりが出来たミニチュアダックスフンド(肛門周囲腺腫)
この子のおしりを正面から見た写真です。
肛門は黄色の矢印で指したところです。
肛門の左下に大きなできものが見えるだけでなく、できものが破裂して中身が出ていました。
できものが大きいので、肛門も圧迫され、便が出にくくなっていました。
これ以上大きくなると手術で取り除くのも難しくなるため、すぐに手術を行いました。
手術後の写真です。
できものはきれいに取り除かれ、肛門の圧迫も無くなり排便状態も良くなりました。
ちなみに、この肛門周囲腺腫という腫瘍は去勢手術をすると今後の発生率が減ることが分かっているため、今回の手術と同時に去勢手術も行いました。
4. おっぱいのしこりが見つかったトイプードル(乳腺腫瘍)
かかりつけの動物病院で乳腺の腫瘍が見つかったトイプードルです。
しこりが大きく、もともと心臓の持病があったため、かかりつけでは手術は難しいと言われたために来院されました。
あおむけにした写真です。
左側が尻尾や後ろ足、右側が頭側になります。
後ろ足の股の近くに乳腺腫瘍が見られます(矢印)。
手術後の写真です。
犬のおっぱいは複数あって乳腺は皮膚の下でつながっており、一か所の乳腺を取っただけでは再発しやすくなるため、手術では一か所だけでなく他の乳腺も取り出します。
股の辺りからお腹にかけて、幅広く乳腺を取り出しています。
もう一つの懸念だった心臓病の方は、手術前に循環器科で精密検査を行い、麻酔や手術は大丈夫な程度と判断した上で手術を行っています。
手術は無事に終わり、この子も非常に元気になり退院しました。